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TEST:液体温調の豆知識 温度制御について解説 (加熱基礎編)

技術コラム


液体温調の豆知識 温度制御について解説 (加熱基礎編)

技術コラム
液体温調の豆知識 温度制御について解説 (加熱基礎編)

ユニコントロールズは、液体のコントロールに特化した製品開発でお客様のニーズにお応えしてきました。
そのような背景の中で、創業当初より携わっている『ディスペンサ』、『ステンレスタンク』および『プランジャーポンプ』など、弊社が取り扱っている機器には温度管理が付きものになっています。
ひとくちに液体の温度管理といっても、それぞれの液体に特長があり性質を理解したうえで実装していくとても難しい分野になります。
弊社では、その液体の温度管理についてお客様とヒアリングを重ね最善の方法を提案しています。
今回は、液体の加熱温調について簡単に解説していますので、お客様のやりたいことのヒントとしてご参照いただければ幸いです。
無料相談もお受けしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。



温度制御とは、簡単に言うと、あるものをある温度まで上げたり(加熱)下げたり(冷却)すること。また、その温度を一定に保つことです。
ここでは、電熱器(ヒーター)による加熱温度制御について簡単に解説していきます。

温めたいもの、ヒーターと熱の移動

電熱器(ヒーター)とは、電気を使用して温めることを目的とした電気機器です。
電熱器(ヒーター)による加熱温度制御は、身近なところにあります。
例えば、電気ポット、トースター、ホットプレートなど、生活のなかにもたくさんありますね。

加熱するための温度制御はいろいろな方法があります。

①最大出力で設定温度に到達したら加熱をやめるもの(急速加熱の電気ポット)

②最大出力で設定時間に到達したら加熱をやめるもの(トースター)

③最大出力で設定温度まで加熱し、その温度で一定に保温をするもの(保温機能付き電気ポット)

④電熱器(ヒーター)温度と温めたい物の温度、2つの温度(情報)を監視して精密に温度調節するもの(一般的ではありませんが、空調設備などにも使用されています。)

など、加熱方法・制御方法は、いろいろな方法があり、その目的に合わせた方法を
選ぶことが重要です。

では、どのような制御があるか図を参考にみていきましょう

①最大出力で 設定温度に到達したら加熱をやめる物(急速加熱の電気ポット)
 制御目的:水が沸点100℃になったら、電源OFFする
 ON/OFF制御(温度設定型)

①最大出力で 設定温度に到達したら加熱をやめる物(急速加熱の電気ポット)


②最大出力で 設定時間に到達したら加熱をやめる物(トースター)
 制御目的:設定した時間に到達したら、電源OFFします。※図は時間を10分にセット
 ON/OFF制御(タイマー設定型)

②最大出力で 設定時間に到達したら加熱をやめる物(トースター)



③最大出力で 設定温度まで加熱し、その温度で一定に保温をするもの(保温機能付き電気ポット)
 制御目的:設定温度到達後、温度を一定にする
 ON/OFF(PID制御)

③最大出力で 設定温度まで加熱し、その温度で一定に保温をするもの(保温機能付き電気ポット)



④電熱器(ヒーター)温度と温めたい物の温度、2つの温度(情報)を監視して精密に温度調節するもの
 制御目的:液体温度を精度良く(誤差や温度ハンチングを少なく)設定温度に到達させたい!
 カスケード制御(多重ループ型PID制御)

★下図補足
 ・第1PID(マスター)は容器内の液体温度を測定して、第2PID(スレーブ)へ指示しています。
 ・第2PID(スレーブ)は、自分自身の設定(絶対ルール)を守りながら、第1PID(マスター)の指示を実行しています。

④電熱器(ヒーター)温度と温めたい物の温度、2つの温度(情報)を監視して  精密に温度調節するもの

以上、一般的なものを紹介しましたが。細かく言えばもっとたくさんの制御方法もあります。
そして、温めるものにより温める方法が変わります。

次に温めるものについてみていきましょう。

温めるものの例え・・・
 例1)水
 例2)空気
 例3)鉄の無垢材
 例4)缶コーヒー

上記4点での物質は主に比熱が違います。
(比熱とは...その物質の単位質量の温度を1℃上げるために必要な熱量)
比熱が大きい物質は、温まりにくく、冷めづらい性質があります。
逆に、比熱が小さい物質は温まりやすく冷めやすい性質があります。

例えば、大気圧1ℓの空気と水をそれぞれ温めようとした場合
空気はものすごく温まりやすいですが、
逆に水は空気に比べ何倍も温まりにくいという傾向があります。

物質

比熱 [J/(kg・K)]

特徴

4186

温まりにくく、冷めにくい。

460

温まりやすく、冷めやすい。

アルミニウム

900

鉄よりも温まりやすく、冷めやすい。

空気

1005

温度変化が比較的起こりやすい。

熱量自動計算ツール

タンク内の材料を温める方法として下記を例としてあげます。
 例1)水タンクにヒーターを入れて直接材料を加熱
 例2)水タンク側面にラバーヒーターを巻いて間接的に材料を加熱
 例3)ジャケットタンクのジャケットに温水を循環させて間接的に加熱



例1)水タンクにヒーターを入れて加熱

例1)水タンクにヒーターを入れて加熱



例2)水タンクにラバーヒーターを巻いて加熱

例2)水タンクにラバーヒーターを巻いて加熱


例3)ジャケットタンクのジャケットに水(温水)を循環させて、循環する水を加熱など

例3)ジャケットタンクのジャケットに水(温水)を循環させて、循環する水を加熱など


この3点の加熱方法でそれぞれの相違点は...熱効率です。

伝熱面積(熱の伝わる面積)と熱交換効率です。

それぞれの特長として
例1)熱効率が良く比較的安価に構築できる
例2)熱効率は低いが安価に構築でき、取付/取り外しが簡単で、タンクの洗浄性は非常に高く扱いやすい
例3)比較的温調効率は高く、高精度の温度管理が可能
 
例えば、
例3)は、例1)より熱交換効率は低いですが材料への急激な温度変化に対しては鈍感なので、温まりにくく、冷めにくいという特徴があります。

温調コンテンツ

温調方式の種類や温調利用例などをご紹介しています

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タンク内の液体は自然対流だけでは温度の均一になりにくいため、より精度を上げた温度管理をしたい場合は撹拌機の導入をお勧めします。

加熱時:ゆっくりした対流、加熱撹拌時:対流が加速

撹拌の効果

伝熱の促進:
加熱または冷却を行う際に、撹拌機は熱の伝達を促進します。これにより、槽内全体が均一な温度になり、局所的な過熱や冷却を防ぐことができます。

製品の均一性:
食品、化粧品、医薬品などの製造において、製品の品質を均一に保つことは非常に重要です。温調と撹拌を組み合わせることで、温度ムラによる品質のばらつきを防ぎ、安定した品質の製品を製造できます。

粘度変化の制御:
液体の粘度は温度によって変化します。撹拌効率は粘度に影響を受けるため、温度を制御することで撹拌効率を一定に保ち、安定した生産を維持できます。

撹拌機ラインナップ

撹拌ユニット、撹拌翼、撹拌タンクの導入事例を紹介しています

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熱容量

その物質の温度をある一定の温度への変化に必要な熱エネルギー量。

熱流量

物質からある物質へ熱が移動する単位時間あたりの熱量。

熱流束

単位面積を単位時間で通過(移動)する熱流量。

熱伝導率

一定の条件下の2つの平行面において、単位面積、単位厚みを通過する単位温度差あたりの熱流量。

熱伝達率

一定の条件下において、その物質表面の熱流束をその物質の表面温度と流体との単位温度差で徐した値。

熱通過率

物質の両面が流体に接している場合、その物質の単位面積の厚みを通過して高温から低温へ単位時間に熱が伝わる熱流量。

比熱

その物質の単位質量の温度を1℃上げるために必要な熱量。

沸点

1気圧下で液体が沸騰して蒸気になる温度。

沸騰

液体がある一定の圧力下である一定の温度に達したとき、液体内部から気化が発生する現象。

密度

物質の単位体積当たりの質量。

比重

水などの基準物質の密度とその物質の密度の比。

熱媒体

熱源と被加熱体とを伝熱仲介する(熱を運ぶ)媒体。

火傷防止

人の手が届き火傷の恐れがある場合に機械や配管などの表面を低温化する断熱処置、カバー。

断熱材

高温部から周囲へ熱移動を減少させる材料のこと。主に火傷防止や保温などに使用する。

温調

温度調節の略称。温度を調節すること。

『液体温調の豆知識 温度制御について解説 (加熱基礎編)』はいかがでしたでしょうか?

今回は、加熱温調に関する基礎的な内容を記事にしました
 ・加熱温度制御の種類
 ・液体を温める方法
 ・温めるもの
 ・温度調整の効率化

ユニコントロールズでは、液体温調に関わる様々な工程においてご支援が可能です。

液体がなかなか目的の温度に達しない加熱温度管理の誤差が大きく安定しないなど温調に関するお悩みや導入への検討などがございましたら下記「お気軽相談フォーム」よりお問い合わせください。

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